ながされて、絆されて、ふりむいて
「……でも、だから、変な男が寄ってくることも多いんで、優しくしてやってください。あんまり男への耐性ないから」
凪と名波さんの視線がぶつかっている。間違いなく当事者であるはずのわたしは参加できずに、ふたりの眼差しだけが交わるばかりだった。
「名波さんが、送ってあげてください。俺がこんなん言うのもおかしいっすけど」
凪がわたしと名波さんに背を向けた。そのまま歩いて行ってしまいそうになる後ろ姿に、名波さんが笑いかける。魅惑的で、試すように。
「いーの?俺、そのまま部屋上がって襲うかもよ。茅野の大好きな可愛い可愛いかりんちゃんのこと」
「……そんなこと、名波さんはしませんから」
掴めない名波さんの発言を咀嚼する時間も余裕も与えてくれない。言葉を刻むより先に振り返った凪は、本人でもないのに彼の行動を断定した。
「随分俺のこと買い被ってくれてるようで」
「まあ、そっすね」
名波さんと合わさっていた凪の視線がこちらへ移る。優しさのこもった、淡いひかりのようなものだった。
単なる幼なじみだったとしても、それだけだったとしても、わたしを一番に考えてくれるところは昔からひとつも変わらない。
わたしを包み込むような、温和で落ち着くその視線が、すごくすごく、好き。