ながされて、絆されて、ふりむいて



「わたし、あんまり勉強は得意じゃないし好きじゃないので……。こうして、矢野先生が教えてくれるおかげです」


「はは、返答まで完璧だ。けど、俺じゃなくて迎え来てくれる西桜の彼氏のほうが賢いでしょ」


「……凪は、幼なじみってだけで彼氏じゃないです」


「あ、賢いのほうは訂正してくれないんだ」



高校生の英語クラスを担当する、大学生の矢野葉月先生。親しみやすくて柔らかくて、顔も芸能人にみたいにかっこいいから女子からの人気は高かったように思う。



時にはこうして冗談を混ぜながら、やさしく笑みを向けてくれる。はは、と薄く笑うのが大人の余裕みたく感じた。そういうところも、高校生から見たら魅力に溢れていたのだろうと他人事みたいに考えていた。




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