ながされて、絆されて、ふりむいて



小さいわたしたちを連れたお母さんと凪ママが近くの公園で仲良くなったのがこの縁のはじまりだった。わたしと凪が高校生になっても会うように、お母さんたちもよく会って話しているみたい。



「新しく駅前にできたパン屋さんの塩トリュフパンが美味しいらしくてね〜、買えたからお裾分け」


「はーい、ちなみにわたしの分は?」


「もちろん」


「やった、行ってくるね」



さすがわたしのお母さん。

自分の分の美味しいパンの存在を確認してから、手提げのクラフト袋を受け取った。


家でのゴロゴロタイムを謳歌していたから、すっぴんだし髪も櫛を通したくらいだ。凪に会うためだけにすこしだけ前髪を整えて、桜色のリップをふるりと乗せて。


くちびると同じように淡く色づく恋心。お父さんはわからないけれど、お母さんにはなんとなく気づかれていると思う。だからこうしてたまに、茅野家へと連れ出してくれる。凪以外の恋人ができたことは、ないしょ。




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