スケッチブック
第三章/匂いの伴う花火色
芽衣子が見られてしまった時
――芽衣子
最悪だ、と思った。
教室に戻った瞬間、
雪の手にあるものが見えた。
私の、スケッチブック。
——開いてる。
頭が真っ白になった。
「それ……」
声が、うまく出ない。
心臓の音が、
耳の奥で、うるさい。
見られた。
描いてたこと。
ずっと、見てたこと。
恥ずかしくて、
怖くて、
逃げ出したくて。
雪が、
何か言おうとする。
でも、
私はその前に、
スケッチブックを抱きしめた。
「……ごめんなさい」
何に対しての謝罪なのか、
自分でもわからなかった。
描いたこと?
見てしまったこと?
好きなこと?
「違う」
雪の声が、
思ったより近かった。
「……嫌じゃなかった」
顔を上げられなかった。
でも、
その一言で、
胸の奥が、崩れそうになる。
「上手とかじゃなくて……
その、
ちゃんと俺だった」
それ以上、
聞けなかった。
涙が出そうで、
ただ、
小さく頷くしかなかった。
――芽衣子
最悪だ、と思った。
教室に戻った瞬間、
雪の手にあるものが見えた。
私の、スケッチブック。
——開いてる。
頭が真っ白になった。
「それ……」
声が、うまく出ない。
心臓の音が、
耳の奥で、うるさい。
見られた。
描いてたこと。
ずっと、見てたこと。
恥ずかしくて、
怖くて、
逃げ出したくて。
雪が、
何か言おうとする。
でも、
私はその前に、
スケッチブックを抱きしめた。
「……ごめんなさい」
何に対しての謝罪なのか、
自分でもわからなかった。
描いたこと?
見てしまったこと?
好きなこと?
「違う」
雪の声が、
思ったより近かった。
「……嫌じゃなかった」
顔を上げられなかった。
でも、
その一言で、
胸の奥が、崩れそうになる。
「上手とかじゃなくて……
その、
ちゃんと俺だった」
それ以上、
聞けなかった。
涙が出そうで、
ただ、
小さく頷くしかなかった。