スケッチブック
【静寂色】

――七星

放課後の教室は、
思っていたより静かだった。

転校してきて、
まだ、居場所を探している途中。
どこに座ればいいかも、
誰に話しかければいいかも、
まだ、わからない。

だから、
少し離れた窓際で、
様子を見ていた。
雪が、
床に落ちているスケッチブックを拾う。
それだけの、
よくある光景。
でも、
ページを開いた瞬間、
雪の動きが止まった。

——あ。
何か、
見てしまった顔。
驚いたような、
困ったような、
でも、
少しだけ、嬉しそうな。
そこに、
女の子が戻ってくる。
芽衣子ちゃんだ。

空気が、
変わったのがわかった。
二人の間に、
言葉にできないものが流れる。
私は、
息を潜めた。
声をかけていい場面じゃないと、
なぜか、わかった。

芽衣子が、
スケッチブックを抱きしめる。
雪が、
何か言っている。
聞こえない。
でも、
その声は、優しかった。

——仲、いいんだ。

そう思った。
それだけ。

胸が、
少しだけ、
ちくっとしたけれど。
理由は、
考えなかった。
窓の外では、
夕焼けが、
にじんだ色になっていた。
きれいだな、と思った。
それが、
この教室で見た、
最初の「色」だった。
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