スケッチブック
――芽衣子

傘を差して、
雨の中を歩く。
水たまりに映る自分の顔は、
ぼやけて、輪郭が曖昧だった。

作楪の声が、
静かに続く。

「混ざった色は、
もう戻らない。
でもね、
にじんだ色にしか、
出せない深さもある」

涙か、雨か、
もう、わからなかった。

好きだった。
今も、好きだ。
でも、
この気持ちは、
言葉にしないまま、
にじませるしかなかった。
スケッチブックのページに、
小さな染みが落ちる。

色は、
ゆっくりと、
境界を失っていった。
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