スケッチブック
第二章/衝撃花火色
初めて雪が芽衣子のスケッチを見た時
――雪
放課後の教室は、
まだ少しだけ、昼の熱を残していた。
机の間を通り抜けようとして、
足元に、何かが落ちているのが見えた。
スケッチブック。
拾い上げて、
持ち主を探そうとした、そのとき。
開いてしまった。
——一瞬だった。
でも、その一瞬で、
息をするのを忘れた。
そこにいたのは、
俺だった。
笑っていない横顔。
少しだけ、眉が寄っている。
集中しているときの、
自分でも知らない表情。
線は細い。
迷いながら、何度もなぞられている。
うまいとか、下手とか、
そんなことじゃなかった。
——見られてた。
誰かに。
こんなふうに。
「……雪君?」
声がして、顔を上げる。
芽衣子が、
立ち尽くしていた。
その目が、
一気に不安で揺れる。
俺は、
慌ててスケッチブックを閉じた。
「ごめん。落ちてたから……」
言い訳みたいな言葉だった。
でも、
胸の奥が、妙に熱かった。
誰かに見られることには慣れていた。
でも、
描かれることは、初めてだった。
それも、
こんなに静かに。
――雪
放課後の教室は、
まだ少しだけ、昼の熱を残していた。
机の間を通り抜けようとして、
足元に、何かが落ちているのが見えた。
スケッチブック。
拾い上げて、
持ち主を探そうとした、そのとき。
開いてしまった。
——一瞬だった。
でも、その一瞬で、
息をするのを忘れた。
そこにいたのは、
俺だった。
笑っていない横顔。
少しだけ、眉が寄っている。
集中しているときの、
自分でも知らない表情。
線は細い。
迷いながら、何度もなぞられている。
うまいとか、下手とか、
そんなことじゃなかった。
——見られてた。
誰かに。
こんなふうに。
「……雪君?」
声がして、顔を上げる。
芽衣子が、
立ち尽くしていた。
その目が、
一気に不安で揺れる。
俺は、
慌ててスケッチブックを閉じた。
「ごめん。落ちてたから……」
言い訳みたいな言葉だった。
でも、
胸の奥が、妙に熱かった。
誰かに見られることには慣れていた。
でも、
描かれることは、初めてだった。
それも、
こんなに静かに。