この星空の下で、君に恋をした
 星の名前を、さらっと言える人。
 その横顔を見て、私は思う。

 ——この人、ただの通りすがりじゃない。

「……毎日、来てるのか」

 無口そうな彼が、ぽつりと聞いてきた。
 質問の仕方まで静かで、少し驚く。

「はい。放課後は、だいたい」

「そうか」

 それだけ言って、彼はまた空を見る。
 会話は途切れたのに、気まずさはなかった。

 沈黙の中で、星が一つ、また一つ増えていく。

 隣にいるのは、名前も知らない、無口で星に詳しい人。

 でも、不思議と怖くなかった。
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