悪女と罵られたので退場させていただきます!
8.夫との交流3
その日の殿下は愚痴をこぼされました。
何でも文官の一人がたまたま娘を側妃として後宮に上げていたそうです。
殿下からのお渡りがないと嘆いていると、文官は仕事の最中にも拘わらず、殿下に直談判。
『大切に育てた娘なんです。どうか、お情けを!』と。殿下は、文官に『仕事中だ。出て行け』と仰られたそうですが、文官は引かなかったとか。
今までも『娘と交流を』と言ってくる親はいたそうですが、殿下が『仕事中だ』と言えば、皆、大人しく引き下がったそうです。
ですが、文官は違ったらしく。
執拗に『お情けを!』と叫ぶ文官に、周囲も辟易したようです。
これには殿下もお怒りになったそうで……。
『私は後宮の全ての妃を等しく扱っている。文句があるなら今すぐ娘を後宮から出す』と言い放ったとか。
『ご苦労様です』と思わず同情してしまう程、本当にお気の毒でした。
そして、愚痴る殿下は普段と違い年相応に見えて親しみを感じました。
まだ、十九歳ですものね。
殿下の愚痴は文官から後宮に住まう側妃達へと移り――
『皆、私に媚びへつらい擦り寄ってくる。臭い匂いを振りまいて。だから会いたくないのだ』と。
詳しく聞けば、一度も会っていない妃が大半だというのです。
これには流石に呆れました。
それでも『会ってあげれば良いのでは?』とは口に出しません。
なんといいますか。
殿下から女性嫌悪?という感じがヒシヒシと伝わってきましたので。
もちろん、殿下がどんな表情をなさっているかは分かりません。花瓶が邪魔で見えませんからね。
それでも声のトーンや言葉の端々から、何となく分かるものなのです。
人見知りとは伺っていましたが、それ以上の何かがあるのかも知れません。
殿下の侍従なら何かを知っているのでしょうが、尋ねても教えてくれないでしょう。
親身な侍従なら殿下の意に沿わなくとも教えてくれるでしょうけど……。
「何時までも現状維持というのは……ね」
私は、この一ヶ月の交流で仲良くなれたと思ったのです。
だから、敢えて尋ねませんでした。
過去に何かあったのですか?とは。
女性との間でトラブルでもあったのですか?とは。
単なる好奇心ですが、本人が隠していることを根掘り葉掘り聞くのは嫌ですし……。
それでも一度、はっきりとお伝えした方が良いのかもしれません。
あの様子では私だけでなく妃の誰とも閨を共にしていないようですし。
「ここはやっぱり、直球で聞いた方がいいかしら?」
夜伽のことを話題にするのは、流石に私も抵抗がありますが。
跡継ぎについては避けられない問題ですしね。
「それが良いわね。聞くのは一度だけにして、後は様子を見ましょう」
考えをまとめたところで、私は湯呑に残ってた緑茶を飲み干し、明日に備えて早めに眠ることにしました。
翌日、オリヴァー様は約束通りの時間に私の部屋を訪れてくださいました。
いつも通り席に座り、彼のリクエストの話をする前に私は「少しお話があるのですが」と切り出しました。
「話?なんだろう?」
「はい。オリヴァー様、実は夜伽のお話でございます」
私の言葉にオリヴァー様は目を丸くしました。
いきなりこんな話をされるとは思わなかったのでしょう。
珍しく取り乱しているオリヴァー様を無視して、これからの事について話しました。
世継ぎの問題を。
子供を儲けるかどうかを。
儲けない場合は養子を貰うことになると。
そして、私以外の妃達についても。
何でも文官の一人がたまたま娘を側妃として後宮に上げていたそうです。
殿下からのお渡りがないと嘆いていると、文官は仕事の最中にも拘わらず、殿下に直談判。
『大切に育てた娘なんです。どうか、お情けを!』と。殿下は、文官に『仕事中だ。出て行け』と仰られたそうですが、文官は引かなかったとか。
今までも『娘と交流を』と言ってくる親はいたそうですが、殿下が『仕事中だ』と言えば、皆、大人しく引き下がったそうです。
ですが、文官は違ったらしく。
執拗に『お情けを!』と叫ぶ文官に、周囲も辟易したようです。
これには殿下もお怒りになったそうで……。
『私は後宮の全ての妃を等しく扱っている。文句があるなら今すぐ娘を後宮から出す』と言い放ったとか。
『ご苦労様です』と思わず同情してしまう程、本当にお気の毒でした。
そして、愚痴る殿下は普段と違い年相応に見えて親しみを感じました。
まだ、十九歳ですものね。
殿下の愚痴は文官から後宮に住まう側妃達へと移り――
『皆、私に媚びへつらい擦り寄ってくる。臭い匂いを振りまいて。だから会いたくないのだ』と。
詳しく聞けば、一度も会っていない妃が大半だというのです。
これには流石に呆れました。
それでも『会ってあげれば良いのでは?』とは口に出しません。
なんといいますか。
殿下から女性嫌悪?という感じがヒシヒシと伝わってきましたので。
もちろん、殿下がどんな表情をなさっているかは分かりません。花瓶が邪魔で見えませんからね。
それでも声のトーンや言葉の端々から、何となく分かるものなのです。
人見知りとは伺っていましたが、それ以上の何かがあるのかも知れません。
殿下の侍従なら何かを知っているのでしょうが、尋ねても教えてくれないでしょう。
親身な侍従なら殿下の意に沿わなくとも教えてくれるでしょうけど……。
「何時までも現状維持というのは……ね」
私は、この一ヶ月の交流で仲良くなれたと思ったのです。
だから、敢えて尋ねませんでした。
過去に何かあったのですか?とは。
女性との間でトラブルでもあったのですか?とは。
単なる好奇心ですが、本人が隠していることを根掘り葉掘り聞くのは嫌ですし……。
それでも一度、はっきりとお伝えした方が良いのかもしれません。
あの様子では私だけでなく妃の誰とも閨を共にしていないようですし。
「ここはやっぱり、直球で聞いた方がいいかしら?」
夜伽のことを話題にするのは、流石に私も抵抗がありますが。
跡継ぎについては避けられない問題ですしね。
「それが良いわね。聞くのは一度だけにして、後は様子を見ましょう」
考えをまとめたところで、私は湯呑に残ってた緑茶を飲み干し、明日に備えて早めに眠ることにしました。
翌日、オリヴァー様は約束通りの時間に私の部屋を訪れてくださいました。
いつも通り席に座り、彼のリクエストの話をする前に私は「少しお話があるのですが」と切り出しました。
「話?なんだろう?」
「はい。オリヴァー様、実は夜伽のお話でございます」
私の言葉にオリヴァー様は目を丸くしました。
いきなりこんな話をされるとは思わなかったのでしょう。
珍しく取り乱しているオリヴァー様を無視して、これからの事について話しました。
世継ぎの問題を。
子供を儲けるかどうかを。
儲けない場合は養子を貰うことになると。
そして、私以外の妃達についても。