悪女と罵られたので退場させていただきます!

13.父からの手紙

【ブランシュへ

 手紙、確かに受け取った。
 嫁いでからまだ日も浅いというのに、殿下との関係に真摯に向き合っている様子が伝わり、父として誇らしく思う。

 夜伽と世継ぎの件については、皇太子妃の立場からすれば当然の問いだ。
 むしろ、その問いを口にできるだけの覚悟と責任感を持っていることに、父として感慨深い思いでいる。

 さて、殿下のご様子について、ブランシュが感じている違和感は、決して思い過ごしではない。
 私もかつて、殿下と接する機会があり、その際に感じたことがある――
 だが、それは筆先で軽々しく語るべきことではない。

 できれば、落ち着いて話せる場を設けたい。
 殿下の過去に関わることでもあり、ブランシュの今後にも関わる話になるだろう。
 人払いの上で、静かに話せる時間を持てればと思っている。

 ブランシュが望むなら、近日中に使者を通じて日程を調整しよう。
 それまで、殿下との関係において焦らず、今まで通りの距離感で接するのが望ましいだろう。

 父より】






「やはり、お父様は何か知っているのね」

 殿下の過去に何かがあったということでしょう。
 お父様から届いた手紙の中にも「殿下の過去に関わること」と書かれています。
 恐らく、皇太子妃として知っておくべき事柄なのでしょう。
 そしてそれは決して軽々しく口にできるものではないということ。
 だからこそ、お父様も一度腰を落ち着けて話をすべきだと記しています。

「焦ってはいけない、ですか……」

 お父様からの手紙を読み終えた私は、そっと呟きました。
 文章からヤバさ加減がにじみ出ているように感じます。これは気のせいではないでしょう。
 殿下の過去、それが一体どんなものなのか。

「相当厄介なことなのでしょうね……」

 知らないうちに闇深い件に足を突っ込んだ気分です。
 そうして、お父様との面会は三日後と決まりました。



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