悪女と罵られたので退場させていただきます!
16.皇太子side
バン!
大きな音がしたと同時に『皇太子殿下!』と、叫ぶ声が聞こえた。
『~~~~っ……女達を捕らえろ!』
近衛兵の怒号が聞こえ、私の身体が持ち上げられた。
『殿下!大丈夫でいらっしゃいますか!?』
『隊長、まずいです!意識がありません!』
『このまま医師のもとに搬送する!』
『はっ!』
近衛兵達の焦る声と駆け回る足音。
そんなやり取りをぼんやりと聞いていた。
ああ、助かったのか……。
薄れゆく意識の中で見えたのは、心配そうに覗き込む男達の顔だった。
『殿下の容体はどうだ?』
『かなり衰弱しています。医師によれば違法な薬物を使用されたようで……未だに昏睡状態です』
『……そうか』
『毒物反応はありませんでした。どうやら、複数の媚薬を飲まされていたようです。薬を使用した女達は医学には疎く、分量を調整しなかったようです』
『なるほどな……。素人のやる事は恐ろしいものだな。まさか、皇太子殿下に使用するとは……』
『はい』
近衛兵の隊長は、部下からの報告を聞くと、大きな溜息を吐いた。
そして苛立つ気持ちを抑えつつ、部下に尋ねた。
『あの女達はどうなった?』
『現在取り調べ中です。違法薬物の件だけでなく、誘拐、監禁罪、性的暴行などの罪が加算されていますので実刑は免れないでしょう』
『そうか……。殿下のご快復を祈るしかないな』
『はい』
そんなやり取りをしつつ、近衛兵は部屋を後にしたのだった。
場面が切り替わる。
私はまだ目覚めていないようだ。
『可哀想にね』
『皇太子殿下のこと?』
「そうよ、まだ十二歳なのに……』
侍女だろうか?
数人の女性の声が聞こえる。
『襲った女達は元貴族だって言うじゃない』
『そうそう。中には皇子殿下の元婚約者もいたらしいわ』
『それって静粛された貴族の家ってこと?』
『らしいわ』
『あちゃ~~。逃げ遅れたバカ貴族だったのね』
『流石に男子は生かしておくことはできないけど、女子はお情けを貰ったって話だったわよ?……修道院に行かなかったの?』
『行かなかった連中よ。大半は修道院に行ったらしいわ』
『陛下が恩情を掛けたんでしょう?行く宛てのない元令嬢は後宮の侍女にって』
『そうそう。最近じゃあ、修道院へ行くにもお金掛かるものね。それに、行くと二度と出られないって話だし』
『それは厳格なところでしょう?緩い修道院もあるわよ』
彼女達の会話から、どうやら私を襲った女達は皇室によって処罰された元貴族だということが分かった。
昏睡状態が続く中、周囲は私の意識が戻るだろうと楽観的に考えていた。
しかし、私は暫くの間は目を覚ますことはなかった。
『お可哀想に』と、口々に言う周囲の声。
『あれからめっきりと元令嬢達の話しは聞かなくなったけど、結局、どうなったのかしら?』
『え?知らないの?』
『だって、皇太子殿下を襲ったから、緘口令が敷かれたじゃない』
『そりゃあそうでしょうけど……』
『だから、噂話もここでしかできないじゃない。その後の事なんて全く聞かないし』
『まぁね。私が聞いた話では、あの元令嬢達は全員幽閉されているらしいわ』
『幽閉!?なんで?皇太子殿下を襲ったのに!?』
『だからよ』
『え?』
『皇太子殿下の子を身籠っている可能性だってあるでしょう?もし万が一そうなれば、ね』
『ああ、そういうことね』
『懐妊しているかどうか分かるまでは生かされるでしょうね』
『……でも、本当に身籠ってたらどうするの?』
『さぁ?それはお偉方が決めるでしょう。まぁ、女達の方は、最終的には処刑されるのは確かね』
意識がないからと本人を前にして話す侍女達。
彼女達の会話から、どうやら犯人の女達は妊娠しているかもしれないらしい。
おぞましい。
私は彼女達の会話を聞きながら、早く意識が戻らねばと、強く思った。
そんな私の願いが通じたのか、私は意識を取り戻したのだった。
大きな音がしたと同時に『皇太子殿下!』と、叫ぶ声が聞こえた。
『~~~~っ……女達を捕らえろ!』
近衛兵の怒号が聞こえ、私の身体が持ち上げられた。
『殿下!大丈夫でいらっしゃいますか!?』
『隊長、まずいです!意識がありません!』
『このまま医師のもとに搬送する!』
『はっ!』
近衛兵達の焦る声と駆け回る足音。
そんなやり取りをぼんやりと聞いていた。
ああ、助かったのか……。
薄れゆく意識の中で見えたのは、心配そうに覗き込む男達の顔だった。
『殿下の容体はどうだ?』
『かなり衰弱しています。医師によれば違法な薬物を使用されたようで……未だに昏睡状態です』
『……そうか』
『毒物反応はありませんでした。どうやら、複数の媚薬を飲まされていたようです。薬を使用した女達は医学には疎く、分量を調整しなかったようです』
『なるほどな……。素人のやる事は恐ろしいものだな。まさか、皇太子殿下に使用するとは……』
『はい』
近衛兵の隊長は、部下からの報告を聞くと、大きな溜息を吐いた。
そして苛立つ気持ちを抑えつつ、部下に尋ねた。
『あの女達はどうなった?』
『現在取り調べ中です。違法薬物の件だけでなく、誘拐、監禁罪、性的暴行などの罪が加算されていますので実刑は免れないでしょう』
『そうか……。殿下のご快復を祈るしかないな』
『はい』
そんなやり取りをしつつ、近衛兵は部屋を後にしたのだった。
場面が切り替わる。
私はまだ目覚めていないようだ。
『可哀想にね』
『皇太子殿下のこと?』
「そうよ、まだ十二歳なのに……』
侍女だろうか?
数人の女性の声が聞こえる。
『襲った女達は元貴族だって言うじゃない』
『そうそう。中には皇子殿下の元婚約者もいたらしいわ』
『それって静粛された貴族の家ってこと?』
『らしいわ』
『あちゃ~~。逃げ遅れたバカ貴族だったのね』
『流石に男子は生かしておくことはできないけど、女子はお情けを貰ったって話だったわよ?……修道院に行かなかったの?』
『行かなかった連中よ。大半は修道院に行ったらしいわ』
『陛下が恩情を掛けたんでしょう?行く宛てのない元令嬢は後宮の侍女にって』
『そうそう。最近じゃあ、修道院へ行くにもお金掛かるものね。それに、行くと二度と出られないって話だし』
『それは厳格なところでしょう?緩い修道院もあるわよ』
彼女達の会話から、どうやら私を襲った女達は皇室によって処罰された元貴族だということが分かった。
昏睡状態が続く中、周囲は私の意識が戻るだろうと楽観的に考えていた。
しかし、私は暫くの間は目を覚ますことはなかった。
『お可哀想に』と、口々に言う周囲の声。
『あれからめっきりと元令嬢達の話しは聞かなくなったけど、結局、どうなったのかしら?』
『え?知らないの?』
『だって、皇太子殿下を襲ったから、緘口令が敷かれたじゃない』
『そりゃあそうでしょうけど……』
『だから、噂話もここでしかできないじゃない。その後の事なんて全く聞かないし』
『まぁね。私が聞いた話では、あの元令嬢達は全員幽閉されているらしいわ』
『幽閉!?なんで?皇太子殿下を襲ったのに!?』
『だからよ』
『え?』
『皇太子殿下の子を身籠っている可能性だってあるでしょう?もし万が一そうなれば、ね』
『ああ、そういうことね』
『懐妊しているかどうか分かるまでは生かされるでしょうね』
『……でも、本当に身籠ってたらどうするの?』
『さぁ?それはお偉方が決めるでしょう。まぁ、女達の方は、最終的には処刑されるのは確かね』
意識がないからと本人を前にして話す侍女達。
彼女達の会話から、どうやら犯人の女達は妊娠しているかもしれないらしい。
おぞましい。
私は彼女達の会話を聞きながら、早く意識が戻らねばと、強く思った。
そんな私の願いが通じたのか、私は意識を取り戻したのだった。