悪女と罵られたので退場させていただきます!

18.理由1

「――――という訳だ」

 ……どこからツッコめばいいのか分からない。というか、そんなトップシークレットな事を私が聞いていいのかしら?
 皇太子妃だからこそ、聞くべし。といったところでしょうか?形ばかりの夫婦とはいえ、夫の事ですからね。ある程度、覚悟はしていましたが。
 まさかここまで悲惨な内容だったなんて。
 いえ、その前に、今のタイミングで話されたのは何故でしょうか。
 本来なら、妃になる前にでも説明するべきでしょうに。説明できなかった理由は、分かりますが。

「お父様、皇太子殿下に関する過去については理解しました。ですが、今、打ち明けてくださったのは何故ですか?隠し通す事も可能でしたのに……」

「ブランシュは知っておくべきだと思ったからだ」

「それは私が皇太子妃だからですか?」

「それもある」

「……側妃の中でこの事を知る者はいるのですか?」

「いいや。誰も知らない内容だ。皇族の中でも知っている者は少ないだろうな」

「……そうですか」

 思わず顔が引き攣りそうになってしまったわ。
 要するに、秘密を知る者は極僅かといったところでしょうか?
 お父様の話から察するに皇帝陛下、医師、近衛達の中に数人といったところかしら?
 お喋りな侍女達は皇太子付きから外されていますしね。解雇されてはいないようですが、一体何処に配属になったのやら……。信用ができないと判断されると、どうなるのか分かったものではないわ。まぁ、陛下の判断は間違ってはいませんけど……。

「お父様、そのような話を私に聞かせてもよいのですか?その……かなりの極秘事項ですよね?」

「あぁ、そうだ。だがな、ブランシュ。お前は知っておくべきだと判断した。皇太子殿下の件はかなり厄介なことだ。皇族の居住区で行われた狼藉だ。本来、あってはならないことが起こった。おかしいと思わないか?実行したのは女性達だが、そもそも薬の出所も未だにはっきりしていない」

「黒幕がいると考えていらっしゃるのですね」

「そう考えるのが自然だ。女性達がああも上手く犯行に及べたのも協力者がいたとしか思えないことばかりだ。普通なら、あのようにはいかない。一人や二人ならともかく、複数の女性達で行うには無理がある」

「つまり、彼女達を唆した者がいて、その人物は皇太子殿下を邪魔に思っていた者。そのような事でしょうか?」

「あぁ、私達もそう考えている」

 私達、ですか。
 お父様だけのお考えではないのですね。

「ブランシュ、皇太子殿下を邪魔だと考える者は多い。殿下がいなければ自分が皇太子だったと、そう考える者は少なくない」

「つまり……多くの者達が手を組んだ可能性もあるという事ですね」

「そうだ。だから、ブランシュには話しておかなければならないと思った。重々、気を付けなさい」

「分かりました」

 含みのある言い方をするお父様。
 後宮の内部にもそういう輩が潜んでいるという事ですね。
 ところで、お父様。
 こんな話を聞いて、果たして私は後宮から無事に出られるのでしょうか。
 寧ろ、他者に話が漏れないよう監禁されるのでは?
 監禁とまでいかなくても、軟禁、あるいは監視は付けられるでしょうね。
 どう考えても隔離される案件です。
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