悪女と罵られたので退場させていただきます!
20.商人side
「ははははは」
もう笑うしかない。
マノン商会はこれで終わる。
殴り倒して床に転がっている息子のリューク。
ダメだ。
この息子を見るとまた殴りたくなってくる。
「な……なん……で」
途切れ途切れにリュークが言う。
「何故だと?自分が何をしたか理解していないのか?」
「ぼ、ぼく……が……なに……?」
「ヴァレリー公爵家を敵にまわしておいて“なに?”は無いだろう」
「な……?」
「なんだ、その顔は。お前はヴァレリー公爵家に喧嘩を売ったというのに、その自覚がないのか?それとも自分には王太子殿下が付いているから公爵家は怖くない……と?」
「ち、ちが……!」
目を見開かせてリュークが叫んだ。
「何が違う?」
「……」
「何も違わないだろう?お前は王太子殿下と一緒になって公爵令嬢を断罪した。ありもしない罪を着せてな。ああ、裁判で有罪になったから令嬢が悪いとても言う気か?あんなもの誰が見ても冤罪だと分かるさ。しかも裁判官を抱き込んでの冤罪だ。皆、知っている。分かっていないのは一般大衆くらいだ。ちょっと考えれば分かる事だって言うのに」
リュークはパクパクと口を動かすばかりで何も言葉が出てこないようだ。
上手く騙せたと思っていたのか?
バカだな。
一般人ですら疑問に思う内容だ。
公爵令嬢を非難していたのは特権階級を嫌う連中だ。いや、バカどもの熱狂に流されて一緒に騒いでいただけか。
「ヴァレリー公爵家の力は国一だ。国内だけじゃない。国外でも広い人脈と力を持っている。それこそ王家を遥かに凌駕する程にな」
「そ、そんなこと……王太子殿下は……なにも……」
「王太子殿下なんかどうでもいい」
「!?……とう……さん……?」
「この国の政治を立て直したのは宰相であるヴァレリー公爵だ。その御息女であるブランシュ様は神童と名高い。血筋、家柄、財力、才能、どれをとっても申し分ない。未来の王妃はブランシュ様以外にいなかった。そうだろ?王太子殿下よりも遥かに優れているんだ」
「で、でも……」
「うちの店がここまで大きくなったのは宰相閣下の政策のお陰だ。魔法道具専門店として国内外に名を馳せているのは、ブランシュ様が魔法研究を熱心だからだ。その恩恵を一番受けているのはマノン商会だ」
「だ……だって……そんな……しらない……」
「知らなかっただと?バカが!知ろうとしなかったの間違いだろ!店の連中は知っている。わざわざ教えた訳じゃない。仕事していれば嫌でも分かるっていものだ。お前の母親や兄達だって理解している。これはな、ランカスター子爵家だって理解していた。知らなかったのはお前だけだ!」
「で、でも……」
「言い訳をするな!」
息子を立ち上がらせて壁に向かって蹴り飛ばす。
ドン!と鈍い音がして息子の体が壁に叩き付けた。
「俺の代でマノン商会は終わりだ。お前の様なバカ息子を持ったせいでな」
「……」
「恩人の公爵家を裏切ったんだ。言っておくが、店を畳めば済む話じゃない。俺達は二度と商人として仕事はできん」
「な、なんで……?」
絶句するリュークに言い聞かせるように、静かに、低い声で言う。
「当たり前だろ。公爵令嬢を陥れようとしたんだ。冤罪でな。商人は信頼が命だ。汚い手段で相手を貶めて利益を得る。そんな相手と誰が商売をする?しかも裁判官を抱き込んでの勝利だ。契約を交わしたところで意味はないと受け取るだろ。契約を初めから守る気がない相手だとな。そんな相手と取引できるか?お前ならどうだ。契約しても不当な手段で破棄して裁判を起こしても違法な手段で犯罪者にさせられるんだ。それを知って商売をするか?信頼できるか?」
リュークは何も答えない。
恐怖と絶望に彩られ、自分がしでかした事の愚かさをやっと理解したようだ。
今更だ。遅すぎる。
「一体どこで教育を間違ったのか」
甘やかしたつもりはない。
リュークは婿入りするといっても相手は子爵家。親友の娘。リュークとも幼馴染の関係だ。家族ぐるみの仲だからと、なあなあにはしなかった。寧ろ、他の子供達よりずっと厳しく教育した。他の子供達が「流石に厳し過ぎるのでは?」と苦言を呈する程に。
「わからん」
答えを返してくれる相手はいない。
もう笑うしかない。
マノン商会はこれで終わる。
殴り倒して床に転がっている息子のリューク。
ダメだ。
この息子を見るとまた殴りたくなってくる。
「な……なん……で」
途切れ途切れにリュークが言う。
「何故だと?自分が何をしたか理解していないのか?」
「ぼ、ぼく……が……なに……?」
「ヴァレリー公爵家を敵にまわしておいて“なに?”は無いだろう」
「な……?」
「なんだ、その顔は。お前はヴァレリー公爵家に喧嘩を売ったというのに、その自覚がないのか?それとも自分には王太子殿下が付いているから公爵家は怖くない……と?」
「ち、ちが……!」
目を見開かせてリュークが叫んだ。
「何が違う?」
「……」
「何も違わないだろう?お前は王太子殿下と一緒になって公爵令嬢を断罪した。ありもしない罪を着せてな。ああ、裁判で有罪になったから令嬢が悪いとても言う気か?あんなもの誰が見ても冤罪だと分かるさ。しかも裁判官を抱き込んでの冤罪だ。皆、知っている。分かっていないのは一般大衆くらいだ。ちょっと考えれば分かる事だって言うのに」
リュークはパクパクと口を動かすばかりで何も言葉が出てこないようだ。
上手く騙せたと思っていたのか?
バカだな。
一般人ですら疑問に思う内容だ。
公爵令嬢を非難していたのは特権階級を嫌う連中だ。いや、バカどもの熱狂に流されて一緒に騒いでいただけか。
「ヴァレリー公爵家の力は国一だ。国内だけじゃない。国外でも広い人脈と力を持っている。それこそ王家を遥かに凌駕する程にな」
「そ、そんなこと……王太子殿下は……なにも……」
「王太子殿下なんかどうでもいい」
「!?……とう……さん……?」
「この国の政治を立て直したのは宰相であるヴァレリー公爵だ。その御息女であるブランシュ様は神童と名高い。血筋、家柄、財力、才能、どれをとっても申し分ない。未来の王妃はブランシュ様以外にいなかった。そうだろ?王太子殿下よりも遥かに優れているんだ」
「で、でも……」
「うちの店がここまで大きくなったのは宰相閣下の政策のお陰だ。魔法道具専門店として国内外に名を馳せているのは、ブランシュ様が魔法研究を熱心だからだ。その恩恵を一番受けているのはマノン商会だ」
「だ……だって……そんな……しらない……」
「知らなかっただと?バカが!知ろうとしなかったの間違いだろ!店の連中は知っている。わざわざ教えた訳じゃない。仕事していれば嫌でも分かるっていものだ。お前の母親や兄達だって理解している。これはな、ランカスター子爵家だって理解していた。知らなかったのはお前だけだ!」
「で、でも……」
「言い訳をするな!」
息子を立ち上がらせて壁に向かって蹴り飛ばす。
ドン!と鈍い音がして息子の体が壁に叩き付けた。
「俺の代でマノン商会は終わりだ。お前の様なバカ息子を持ったせいでな」
「……」
「恩人の公爵家を裏切ったんだ。言っておくが、店を畳めば済む話じゃない。俺達は二度と商人として仕事はできん」
「な、なんで……?」
絶句するリュークに言い聞かせるように、静かに、低い声で言う。
「当たり前だろ。公爵令嬢を陥れようとしたんだ。冤罪でな。商人は信頼が命だ。汚い手段で相手を貶めて利益を得る。そんな相手と誰が商売をする?しかも裁判官を抱き込んでの勝利だ。契約を交わしたところで意味はないと受け取るだろ。契約を初めから守る気がない相手だとな。そんな相手と取引できるか?お前ならどうだ。契約しても不当な手段で破棄して裁判を起こしても違法な手段で犯罪者にさせられるんだ。それを知って商売をするか?信頼できるか?」
リュークは何も答えない。
恐怖と絶望に彩られ、自分がしでかした事の愚かさをやっと理解したようだ。
今更だ。遅すぎる。
「一体どこで教育を間違ったのか」
甘やかしたつもりはない。
リュークは婿入りするといっても相手は子爵家。親友の娘。リュークとも幼馴染の関係だ。家族ぐるみの仲だからと、なあなあにはしなかった。寧ろ、他の子供達よりずっと厳しく教育した。他の子供達が「流石に厳し過ぎるのでは?」と苦言を呈する程に。
「わからん」
答えを返してくれる相手はいない。