悪女と罵られたので退場させていただきます!

12.炎上する噂1

 噂という物は一旦流れてしまうと中々消えないもの。
 特に悪い噂というのは簡単に消えることはないでしょう。
 何故なら、一度広まったものは人の噂によって更に誇張されていき、尾ひれがついてどんどん大きくなっていくからです。
 
 そして人の口に戸を立てることなどできません。
 
 例えどんなに厳重に隠していても、どこからともなく漏れ出してしまうものです。
 人は他人の不幸を好みます。他人が苦しんでいる姿を見ると喜びを感じる生き物なのです。
 それが、自分とは無関係であればあるほど……。
 ですから、噂を消すには元となるものを根絶やしにしなければならないでしょう。
 つまり、当事者である王女殿下とフリッド様の関係を明確にする必要があります。
 しかし、それは不可能に近いでしょう。
 何故なら、お二人とも別に相手がいますから。その相手の一人が私という訳ですわ。王女殿下の相手は遠い異国にいますからね。私がやり玉に挙げられてしまうのも致し方ないことでしょう。

「ヴァレリー公爵令嬢がフリッド様との婚約に執着しているらしい、ですわよ」

「え?私が聞いたのは、ヴァレリー公爵令嬢が婚姻を強要しているという話ですわよ?」

「違いますわよ。ヴァレリー公爵令嬢は婚姻を強要しているのではなく、オーファンラスター公爵家が婚約解消を渋っているんです」

 噂の火消しに奔走する一方で更なる噂を拡散させていますわ。
 火消しよりも炎上の方が得意なのでは?
 もしかしてワザとですの?
 私に対する噂も更に酷くなっていますわ。
 まあ、それ以上に公爵家とフリッド様の噂がカオスですけど。

 私がフリッド様を愛していて婚姻を強要している、という噂がある一方で、フリッド様が私に執着している、という噂も存在しています。
 何が真実で何が嘘なのか。
 ごちゃまぜ状態というか、もはや原型を留めていませんわね。
 ご令嬢達の間では元々出回っていた噂に毒されて、更に酷い噂に変貌を遂げていますわ。

 この国に滞在している貴族。要は外交官ですわね。彼らはそんな噂を真に受けていません。
 新しい噂が投下されるたびに「またか」と呆れている様子が伺えます。
 中には「ヴァレリー公爵令嬢に対して無礼過ぎないか?」と、ボルゴーヌ王国に不信感を抱く外交官もいました。それと同じくらいに嘲笑っておりましたけど。既に本国に報告している外交官は多いでしょうね。

 まあ、仕方ありません。他国から見たらこんな馬鹿げた国はないだろうと、客観的に見たら思いますもの。
 お陰で私に対して同情的でしたわ。
 それに、大使たちは帝国の大使と懇意にしているようですし。

 ただ、中には例外も存在します。



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