悪女と罵られたので退場させていただきます!

16.ジェニー王女side

 私は悪くない。
 兄妹同然の幼馴染に甘えただけ。
 彼と昔話に花を咲かせただけ。

『あ~~、貴女の知らない話しだったわねぇ。ごめんなさい。つい昔を思い出しちゃって。早々、こんな話は知ってる?小さい頃フリッドと二人で――――』

『え~~、それ、フリッド嫌いなんですよ?知らなかったんですか?婚約者だからてっきり知っているとばかり思っていたのに』

 フリッドとの思い出話をしてあげたわ。
 彼女の知らないフリッドの話しをね。

 皮肉めいて。
 嫌味めいて。
 自嘲めかして。

 でも、彼女は全く動じなかった。
 それどころか、フリッドの話題を出されても顔色一つ変えなかった。

 ……なによそれ。

 私はモヤモヤする気持ちを抑えられなかった。
 妬みもなく嫉妬もない。
 興味がないと言わんばかり。

 デートの妨害をした。
 病弱な私を心配してフリッドはいつも見舞いに来てくれる。

 あの女はデートをすっぽかされたのよ。
 大恥をかかされて泣いているに違いないわ。

 なのに。

『ええ!?一人で観劇に!?』

『そうなんだ』

『え?なんで?』

 本気で意味が分からなかった。
 観劇を見に行く約束をして相手にすっぽかされたのに「じゃあ、一人で見る」とか。
 それを平然と口にしてるなんて。

 何よ!なんなのよ! あり得ないじゃない!

 こちらに全く興味がないかのような態度に苛ついた。
 自分の優位さをアピールしているの?
 自分は価値ある存在だと?
 だからあんな態度を取れるの?

 イライラが止まらない。
 彼女の歪んだ顔を見てみたい。

 だから。
 彼女を、ヴァレリー公爵令嬢を孤立させた。

 なにの全く効果がないってどういうことよ!?
 一人になっているのよ?
 なんでそんなに平気なのよ!

 まるで私は貴方たちとは違う、と言わんばかりの態度。

 それが更に私を苛立たせる。

 だから更に貶めたいと思った。

 彼女の悔しがる姿が見たい。泣き顔が見たい。 
 もっと彼女を追い詰めないと。

 これはちょっとした悪戯よ。
 ここは彼女の国じゃない。
 彼女は他国の人間で、私はこの国の王女。
 そう、皆がどう言おうと私の方が立場が上よ。
 私は彼女に立場を弁えるように教えてあげているだけ。これは可愛い悪戯。ただの教育的指導。

 それだけよ!


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