悪女と罵られたので退場させていただきます!

18.誕生日パーティー1

「お誕生日おめでとう、ヴァレリー公爵令嬢」

 各国の大使達と歓談していた私に、唐突に祝いの言葉をかけてきたのはジェニー王女。

「おめでとう、ブランシュ嬢」

 ジェニー王女に続いて、そう声をかけたのは、私の婚約者であるフリッド様。
 彼は婚約者の誕生日パーティーに王女とはいえ、別の女性をエスコートしてきたのです。それも随分と遅れての登場。しかも歓談中に一言の断りもなく、ズカズカと。あまりにも非常識な行為に、周りの空気はピリつきました。

「ありがとうございます」

 私の声が少し低くなったのは、致し方ないことだと思います。

「ブランシュ嬢、これを」

 そう言って、フリッド様は薔薇の花束を差し出してきました。
 私への誕生日プレゼントということでしょう。

「まぁ……ありがとうございます」

 どうして今頃来たのか分かりません。
 遅刻も遅刻。
 そもそも欠席の連絡を貰っていましたので、そのまま来なくても良かったのですが。
 一応、婚約者ということで招待状を出したとはいえ、来ることは想定していませんでした。今回もジェニー王女の横やりがあるものだとばかり思っていのに……。とはいえ、横やりがあったのは事実。
 今回も「王女殿下の見舞いに」という理由で欠席を申し出てきたのだから。
 どんな心境の変化があったのか。

 私は、傍近くで控えていたメイドに目配せすると、メイドは「心得ました」と視線で返答をし、私の代わりにフリッド様から薔薇の花束を受け取ってくれましたわ。出来るメイドはやはり違いますわね。

「折角来てくださったのです。どうぞお楽しみください」

 ジェニー王女に招待状を送っていませんが。来てしまったのならば、仕方ありません。無視する訳にもいきませんしね。
 私は、一般的な挨拶だけをすると、再び各国の大使達と歓談を楽しもうとしました。
 
 けれど――

「待ちなさいよ!」

 阻むかのように、王女は叫ばれたのです。

「フリッドのプレゼントを直接受け取らないなんて!何様のつもりなの!」

 何様のつもりと仰られても。
 それは此方が言いたいセリフです。

「王女殿下。失礼ながら、私の手は、“今”空いていませんわ。これで花束を受け取れと仰られますの?」

 私は、右手に持つグラスを顔の位置まで持ち上げて、ジェニー王女に見せつけるように動かしました。

「グラスを置けばいいだけじゃない!」

 王女が、そう叫んだのです。
 その瞬間、私は、思わず「はあっ?」と口に出しそうになってしまいましたわ。
 グラスを置けですって?
 バカでも分かるように「歓迎していない」と意思表示しているんです。
 直接受け取れば「非常識な二人組を歓迎している」と、捉えられるではありませんか。
 この王女は、そんな私の意図が伝わっていないのかしら?
 口に出さなければ理解できない?
 なんて、愚かな。

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