悪女と罵られたので退場させていただきます!
27.帝国大使side
ボルゴーヌ王国の王妃の死。
やはりというべきか。
調べた結果、王妃は毒殺されていた。
それも暗殺ギルドから手に入れた強力な毒薬を使っての犯行だった。
実行犯を捕らえることができたのは幸運だった。
なぜなら、実行犯はとうの昔に始末されているとばかり思っていたからだ。
まあ、実行犯のうちの一人だけ生き残ったといったほうが正しいが。
唯一、生き残った一人は暗殺ギルドと繋がりのある商人の用心棒だった。
それも行商を生業とする商人達の用心棒だ。
一ヶ所に留まらず、諸国を渡り歩く流れ者。
だからこそ選ばれたのだろう。
「用心棒とはいえ、元傭兵。護衛騎士を葬りさる腕前といい、現役の頃はかなり優秀な兵士だったろうに」
思わず呟いていた。
それだけの腕を持っていた。
「よく考えついたものだ。王族の護衛兵を変死させるとはな」
「はい。しかも、そのやり方がまたえげつないものでした」
「ああ。あたかも狙われているのは王族全般であるかのように見せかけた。護衛騎士が一人、また一人と死んでいく。王族達は恐怖だったろうな。今回は偶々、護衛が亡くなったが、次は自分かも知れないと」
「はい。普通に考えれば王家に恨みを持つ者の犯行。しかし、王族に直接手出しはできない。その代わりに護衛を狙う、といった感じでした」
「犯行声明はないものの、当時の騎士団も本当に狙われているのは王族だと疑っていた」
誰も疑いもしなかった。
当然だ。
死者はでなかったとはいえ、数名の王族が怪我を負ったのだ。
その中には国王も含まれていた。
元傭兵の用心棒人は、こちらが驚くほど簡単に依頼人の名前を口にした。
依頼主は王妃の夫。
国王陛下だ。
妻である王妃を疎んじており、邪魔だから消して欲しい。そんな依頼だったそうだ。
それを用心棒の口から聞いた時は、絶句するしかなかった。
仲睦まじい夫婦でないことは知っていたが、元々政略結婚だ。
国同士の利益で結ばれている。
それを「邪魔」の一言で殺すとは。
驚く私に用心棒の男は苦笑して告げた。
『人が人を殺す理由は色々ある。恨み、妬み、嫉妬、憎しみ、欲望。だが、理由なんてものは些細なことだ。邪魔だから殺す。殺したいと思うから殺す。そういった人間も多い』
理屈など必要ない、と言わんばかりだった。
『まあ、そういう俺も人のことは言えないがな』
そう言って男は笑った。
『今は用心棒の仕事をしているが、何でも屋だ。金さえもらえれば、護衛でも殺しでもする。依頼人が誰だろうと関係ないし、殺す相手が誰であろうと関係ない。俺は仕事をこなすだけだ。たとえ、依頼主が一国の王で、殺す相手がそれに連なる者だろうと、な』
男の話では王妃に毒薬を飲ませていたのは、国王の息がかかったメイド長だった。
彼女が王妃の紅茶に毒を混ぜていたらしい。
『メイド長が毒を入れているとは聞いてはいたが、他にも実行犯はいただろうな』
男の経験上、実行犯が一人とは考えにくいそうだ。
『その時の依頼人は特に慎重だった。実行犯は複数いただろうが、本人達は自分以外に毒を盛る者はいないと信じていたはずだ。そうでなければ、実行犯全員が依頼人によって口封じに殺されるなんてことはない』
男は依頼人の用心深さに呆れていた。
『疑り深いわりに妙なところで詰めが甘い。だから、俺のような流れ者を見逃したりするんだ』
『見逃された、ではなく?』
『依頼人は最初から皆殺しを狙っていたんだろう。そうでなければ流れ者に依頼などしないさ。自分にとって死んでも構わない連中に殺しを任せたんだ。小心者で、とびっきりの自己中だよ、依頼人は』
『だが、君は生きている』
『いったろう?見逃したんだ。もっとも、俺も少しばかり小細工はしておいたがな。それが功を奏しただけの話さ』
男は自分が死んだように偽装したらしい。
事故で死んだことにして、国外に脱出したそうだ。
『流れ者だからな。色々とコネがあるのさ』
詳しく聞けばフリーの殺し屋もしているらしい。
今は殺しは引退したと言うが、どこまで本当のことなのか。
ただ、暗殺ギルドの一員ではないことだけは確かだった。
やはりというべきか。
調べた結果、王妃は毒殺されていた。
それも暗殺ギルドから手に入れた強力な毒薬を使っての犯行だった。
実行犯を捕らえることができたのは幸運だった。
なぜなら、実行犯はとうの昔に始末されているとばかり思っていたからだ。
まあ、実行犯のうちの一人だけ生き残ったといったほうが正しいが。
唯一、生き残った一人は暗殺ギルドと繋がりのある商人の用心棒だった。
それも行商を生業とする商人達の用心棒だ。
一ヶ所に留まらず、諸国を渡り歩く流れ者。
だからこそ選ばれたのだろう。
「用心棒とはいえ、元傭兵。護衛騎士を葬りさる腕前といい、現役の頃はかなり優秀な兵士だったろうに」
思わず呟いていた。
それだけの腕を持っていた。
「よく考えついたものだ。王族の護衛兵を変死させるとはな」
「はい。しかも、そのやり方がまたえげつないものでした」
「ああ。あたかも狙われているのは王族全般であるかのように見せかけた。護衛騎士が一人、また一人と死んでいく。王族達は恐怖だったろうな。今回は偶々、護衛が亡くなったが、次は自分かも知れないと」
「はい。普通に考えれば王家に恨みを持つ者の犯行。しかし、王族に直接手出しはできない。その代わりに護衛を狙う、といった感じでした」
「犯行声明はないものの、当時の騎士団も本当に狙われているのは王族だと疑っていた」
誰も疑いもしなかった。
当然だ。
死者はでなかったとはいえ、数名の王族が怪我を負ったのだ。
その中には国王も含まれていた。
元傭兵の用心棒人は、こちらが驚くほど簡単に依頼人の名前を口にした。
依頼主は王妃の夫。
国王陛下だ。
妻である王妃を疎んじており、邪魔だから消して欲しい。そんな依頼だったそうだ。
それを用心棒の口から聞いた時は、絶句するしかなかった。
仲睦まじい夫婦でないことは知っていたが、元々政略結婚だ。
国同士の利益で結ばれている。
それを「邪魔」の一言で殺すとは。
驚く私に用心棒の男は苦笑して告げた。
『人が人を殺す理由は色々ある。恨み、妬み、嫉妬、憎しみ、欲望。だが、理由なんてものは些細なことだ。邪魔だから殺す。殺したいと思うから殺す。そういった人間も多い』
理屈など必要ない、と言わんばかりだった。
『まあ、そういう俺も人のことは言えないがな』
そう言って男は笑った。
『今は用心棒の仕事をしているが、何でも屋だ。金さえもらえれば、護衛でも殺しでもする。依頼人が誰だろうと関係ないし、殺す相手が誰であろうと関係ない。俺は仕事をこなすだけだ。たとえ、依頼主が一国の王で、殺す相手がそれに連なる者だろうと、な』
男の話では王妃に毒薬を飲ませていたのは、国王の息がかかったメイド長だった。
彼女が王妃の紅茶に毒を混ぜていたらしい。
『メイド長が毒を入れているとは聞いてはいたが、他にも実行犯はいただろうな』
男の経験上、実行犯が一人とは考えにくいそうだ。
『その時の依頼人は特に慎重だった。実行犯は複数いただろうが、本人達は自分以外に毒を盛る者はいないと信じていたはずだ。そうでなければ、実行犯全員が依頼人によって口封じに殺されるなんてことはない』
男は依頼人の用心深さに呆れていた。
『疑り深いわりに妙なところで詰めが甘い。だから、俺のような流れ者を見逃したりするんだ』
『見逃された、ではなく?』
『依頼人は最初から皆殺しを狙っていたんだろう。そうでなければ流れ者に依頼などしないさ。自分にとって死んでも構わない連中に殺しを任せたんだ。小心者で、とびっきりの自己中だよ、依頼人は』
『だが、君は生きている』
『いったろう?見逃したんだ。もっとも、俺も少しばかり小細工はしておいたがな。それが功を奏しただけの話さ』
男は自分が死んだように偽装したらしい。
事故で死んだことにして、国外に脱出したそうだ。
『流れ者だからな。色々とコネがあるのさ』
詳しく聞けばフリーの殺し屋もしているらしい。
今は殺しは引退したと言うが、どこまで本当のことなのか。
ただ、暗殺ギルドの一員ではないことだけは確かだった。