悲しいくらいに青い空が、夜に溶けるまで

第十三話 手紙の内容:過去の決別


【手紙の内容:過去との決別】

​(手紙に綴った、私の独白)

​キミ君へ。
この手紙を読んでいる時、私はあなたの隣にいるでしょうか。
​あの日、あなたに出会うまでの私は、ただの抜け殻でした。
「興味がない」と言い放ち、他の女性の影を隠そうともしない夫。そんな彼にさえ必要とされたくて必死だった私は、自分の尊厳さえもゴミ箱に捨てていました。
でも、あなたが私の心に触れてくれた。
私の拙い言葉を拾い上げ、美味しい手料理で凍えた体を温めてくれた。
​「愛されること」を、あなたが教えてくれたから。
私は、あの冷え切った家を出る決心をしました。
​夫には、すべてを話しました。あなたのことは伏せたけれど、もう誰かの身代わりでも、空虚な肩書きを守るための道具でもなく、自分の足で歩きたいのだと。
罵倒もされました。世間体も、安定した生活も失いました。
でも、ちっとも怖くなかった。
私の心には、あの日のあなたの「大丈夫だよ」という言葉が、お守りのように響いていたから。
​私は今、何者でもない「私」として、あなたの前に立っています。
重い荷物(かこ)はすべて置いてきました。
これからは、あなたの隣で、新しい名前を刻んでいきたい。

彩綾
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