総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「お久しぶりです!」
懐かしさに自然と頬が緩んだ。
そのメイドさんの後ろからは、数人のメイドさんたちがひょこっと顔を覗かせている。
「胡桃様に会えるの、みんな楽しみにしてたんですよ」
そう言って、そっとウインクされる。
え、私に会うのを、楽しみ……??
思わぬ言葉に、私の頭の上に「?」と疑問符が浮かぶ。
戸惑いながら周囲を見渡すと、後ろに並んでいたメイドさんたちが柔らかくて温かい眼差しで、じっと私を見つめていることに気づいた。
理由はよく分からないけど……少なくとも、私がこの館に来ることをみんなが歓迎してくれているのだけは伝わってきた。
それから親切に館の中を案内してくれて、廊下を進み…ひとつの部屋の前で足が止まる。
「こちらが、お二人のお部屋でございます」
ガチャリと重厚な鍵が開けられ、扉が開かれる。
「……ひろ……!」
思わず、声が漏れた。
執事さんが案内してくれた部屋は、私の想像を遥かに超える広さだった。
ふかふかの高級そうなソファが置かれた広々としたリビングスペースに、街を一望できる大きなガラス窓。
そしてその奥にはプライベートなベッドルームが見えている。
「それでは、何かございましたらいつでもお呼びくださいませ」
執事さんとメイドさんたちは深く一礼して下がり、バタンと静かに重い扉が閉まる。
静寂が訪れた部屋に残されたのは、私と叶兎くんの二人だけ。