総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「……ベッド、一つ」
思わず呟いた私に、叶兎くんが肩越しに振り返る。
「どうしたの」
「い、いや……なんか急に実感湧いてきて……」
「嫌?」
「ち、違う!」
即答してしまってから、はっとする。
案の定、叶兎くんは可笑しそうに「くすっ」と顔をほころばせた。
急に二人きりであることを強く意識してしまって、顔が一気に沸騰したみたいに熱くなる。
ダメだ、これ以上何か言ったら……絶対に叶兎くんに弄ばれるっ……!
キュッと口を結んで言葉に詰まっていると、叶兎くんが静かにこちらへ歩み寄ってきた。
そして、私の頭の上にそっと手を置く。
「今日から毎朝、一番に顔見れるね?」
何気ない言い方なのに、視線には含みがあって。
その瞬間、病院で寝ぼけながら口にした言葉が、鮮明に蘇る。
“──毎朝こんなふうに目が覚めたらいいのにな……”
寝ぼけてたとはいえ……
「………恥ずかしいから、忘れて欲しいんだけど…!」
というか。
こんなにも早く現実になるなんて、思ってなかった。