総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
視線を逸らすと、叶兎くんは少しだけ目を細めた。
「忘れるわけないよ。
だって、“毎朝一緒に目が覚めたい”って……プロポーズみたいなものじゃない?」
……。
……っ!?
今さらになって、
自分が相当なことを言っていたと理解する。
「言っとくけど」
叶兎くんは、少し照れたように視線を逸らしながら続けた。
「俺も結構、浮かれてるから」
「……叶兎くんも?」
いつもと変わらない顔をしてるのに。
でも、それって──楽しみにしてくれてたってこと?
「それに。もう卒業したし……ね?」
…意味ありげな間。
何かを含んだその言い方に、なぜか心臓が落ち着かない。
「ゆっくりしたいところだけど…ちょっと仕事の手続きがあるから、少し出てくるね」
叶兎くんは扉へ向かいながら振り返る。
「先にお風呂とか入ってきな。ここ、大浴場だから」
「うん…?分かった!」
そして、叶兎くんはいたずらに笑みを浮かべる。
「心の準備もしておいてね」
それだけ言って、叶兎くんは静かに部屋を出ていった。
………心の準備。
…何の…?
そんな疑問を抱いたまま、私は言われた通りお風呂に向かった。