総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「ま、まだ結婚はしてないですよっ…!?」
慌ててそう言うと、
「まだ、ですけど」
当然のように、あっさり返された。
「でも、もう決まってるようなものですよね?」
ブラシが、髪をやさしく梳く。
…ま、まぁ…そういうことになる…のかな…?
「なので、敬語もやめて下さい。私のことも呼び捨てでいいので。」
びしっと言われてしまうと、不思議と逆らえない。
「……分かった。ありがとう、桜」
少し照れながらそう言うと、
「はい!」
と、満足そうな返事が返ってきた。
ドライヤーの音の合間に、桜がふと思い出したように言う。
「…叶兎様、胡桃様の話になると、凄く優しい顔をするんですよ」
淡々とした口調なのにどこか楽しそうで。
胸の奥が、きゅっと締め付けられる。
「え……叶兎くん、私の話してたんですか……?」
嬉しい…というより、意外で。
そんなふうに、外で私の話をするタイプだと思っていなかった。
「してましたよ〜。…なんなら、執事に恋愛相談してました」
「あの叶兎くんが………?!」
思わず振り返ってしまうと、
「とかせないので、前向いてください」
肩を掴まれてやんわりと戻される。