総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
“ハンター”という言葉を聞くと、どうしてもあの夜の光景がフラッシュバックする。
冷たい銃口、硝煙の匂い……そして、私を助けてくれた琥珀の冷ややかな瞳。
「なんでもないよ」と言いかけたけど、隣の叶兎くんと正面の時雨くんの鋭い視線に射抜かれて私は口を噤んだ。
「その、……ハンターと訓練って……大丈夫かなって。」
「……まぁ、正直、俺もそこは心配してる。」
叶兎くんが静かに頷く。
私の脳裏には、琥珀の姿が浮かんでいた。
結局、あの夜襲われたことはまだ叶兎くんに言えないまま。
とっくに琥珀くんが報告して、叶兎くんから詰め寄られていてもおかしくないのに、彼からは一度もその話題が出ない。
……数日が経ってしまった今、余計に言い出しづらくなってしまった。
心配をかけたくない。彼の負担を増やしたくない。
そんな思いが、私の唇を重くさせていて。
「…胡桃、なんかあった?」
びくっと肩が跳ねた。
う、やっぱり叶兎くんて鋭い…。
「え、な、なんもないよ? ただ、ちょっと心配なだけ……」
叶兎くんはじっと私の目を見つめた。
数秒……いや、永遠に続くかのような長い沈黙。