総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「……っ琥珀こそ、はぐらかさないで。」
私が真っ直ぐに見つめると、彼はぱちりと何度か瞬きをした。
「…あー、もう。なんでこういう時だけ鋭いんだよ。ムカつく」
琥珀はぼそっと呟いて。
次の瞬間、私の手のひらに柔らかくて熱い感触が伝わった。
琥珀が、そのまま私の手のひらにキスをしたのだ。
もし、この手を少しでもずらしたら──彼の唇は、私の唇に重なってしまう。
「──っ!」
息が止まる。
琥珀は私を上目遣いでじっと見つめていた。
その瞳は、いつもの軽い光ではなく、溺れる人が何かに縋り付くような、切実で必死な色。
「……ねえ、俺のこと見てよ」
吸い込まれそうな視線。
「っ、もう、いい加減にして!」
ぐいっと琥珀の胸を押し返す。
ようやくできた数歩の距離。
琥珀は一歩下がっただけで、よろめくこともなく立ち尽くしていた。