総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「本日の合同訓練は、拠点侵入・奪取戦です。仮想の敵拠点が用意されており、勝敗は制限時間内に最奥にある『対象』を奪取すること。チーム同士の妨害も許可されます。なお、ハンターの武器は実弾ではなく色弾を使用。手足以外に被弾した場合、その時点で脱落となります」
会場の端、影になった壁に寄りかかっていた叶兎くんが、ゆっくりとこちらへ歩み寄ってきた。
私たちが揃ったのを確認して、その鋭い瞳を細める。
「……全員揃った?作戦、移動しながら決めよう」
叶兎くんを先頭に、コンクリートの壁に囲まれた廊下を通り会場裏手の通路へ向かった。
訓練開始まであと十分。
私たちのチームが参加するのは一番最後だから、それまでにはかなり時間がある。
「俺が前衛。天音は遊撃。楪は後方支援。で、胡桃は俺の後ろ。」
「おっけー」
叶兎くんの指示に、天音くんが即座に応じる。
でも、琥珀は不満げに眉をひそめた。
「…なんで胡桃は君の後ろ?」
「胡桃の能力は保険。いきなり前に出すのは危険だから。」
合理的な判断だった。
……まぁ、そうだよね…私が不用意に前に出て、真っ先に脱落しちゃったら元も子もないし。
「文句あるなら代案出して。」
「……ないよ」
この2人、大学で会った時の出会いが最悪のタイミングだったけど…琥珀がハンターってことに、叶兎くんはあんまり驚いてないみたい…?