総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
叶兎くんはモニターから目を離さないまま、無機質な声で告げる。
「その状態で実戦に出るのは自殺行為だけどね」
天音くんは叶兎くんの横顔をじっと見つめ、少しの沈黙のあと、ふっと肩の力を抜いた。
「ま、起きたら働いてもらえばいいっしょ。」
モニターの中で、また一つのチームが全滅した。
残りチーム数が減っていく。
──私たちのチームまで、あと数組。
…叶兎くん、琥珀と喧嘩をしているわけじゃない…けど、今日の叶兎くんはどこかピリついている気がした。
会場に来てからずっと柔らかい表情を一切見せない。
仕事モード特有の、氷のように冷たく鋭い視線。
叶兎くんの赤い瞳は、モニターの青白い光を反射して硝子玉みたいに冷徹に光っていた。
いつもの、安心させてくれる優しさがどこにもない。
そわそわと落ち着かない私の肩に、天音くんがぽん、と手を置いた。
「そんな顔しないの。本番前に強張ってたら持たないよ?」
「……な、なんか、みんなすごいからこんなとこに私が参加していいのか不安になってきちゃって…」
モニター越しに見える戦闘は、どのチームも自分の能力を駆使していて。
「胡桃っちの能力めちゃくちゃ助かるんだけどなぁ。無効化って反則級。」
…それは、そうなのかもしれないけど。
でも、私にはみんなみたいに華々しく戦う力はない。