総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「それにさ、戦うだけが参加意義じゃないでしょ?」
天音くんの声が少しだけ優しくなった。
彼の言うことはもっともだ。
そもそも派手な戦闘を期待されているわけじゃない。自分にできることをやればいい。
分かっているけど…それでも胸のざわつきは収まらなかった。
そのとき、モニターに最終組のアナウンスが流れた。
《最終組──準備をお願いします。》
「行こう」
叶兎くんが短く言い放ち、立ち上がる。
私はまだ眠っている琥珀の肩を揺らそうと、彼に近づいた。
「琥珀、そろそろ起き──」
その瞬間、琥珀がびくっと体を跳ねさせて目を覚ました。
それと同時に、琥珀の右手が無意識に腰のホルスターへと伸びる。
一瞬で獲物を狩る目になった彼に、私は息を呑んだ。
琥珀はハッとしたように手を下ろし、気まずそうに顔を伏せる。
「……最悪、こんなところで寝落ちするなんて…」
袖で乱暴に目元を拭うと、琥珀はすぐに「ハンター」の鋭い顔に切り替わった。
オンとオフの切り替えが、あまりに異常で速い。