総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



夜風が肌に突き刺さる。

でも、今の私にはその冷たさが最高に心地よかった。



手すりにもたれかかりまたグラスの中の液体を見つめと、ゆらゆらと揺れる、赤い液体。



叶兎くんの瞳と同じ色。


…………………………。



グラスを傾けて、残りを一息に飲み干した。



「……っは……。」



くらり、と視界が回った。

やば、お酒、弱いって言われてたのに、…。



バルコニーの手すりに額をくっつけて目を閉じる。

夜空には無数の星が散らばっていて、遠くからはホールの華やかなワルツの音楽。


アルコールが一気に血液に乗って、思考をぐちゃぐちゃにかき混ぜていく。


その時、バルコニーの重いドアが、バタンと開いた。



「あれ、こんなところに一人?お嬢さん、もしかして朝宮胡桃さん?」



聞こえてきたのは、二十代半ばくらいの、聞き覚えのない男の人の声。



がっしりした体格に、獲物を狙うような鋭い目つき。

……多分、ハンターの人だ。



「……え……、と、」



男の人はニヤニヤと笑みを浮かべながら、ずい、と私に距離を詰めてきた。

男からも微かにお酒の匂いがする。



「いやぁ、噂通り可愛いね。ねえ、ちょっと話さない?うちの部隊に興味ない?今なら幹部待遇で──」



男の手が馴れ馴れしく伸びてきた。

その指が触れる直前──。



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