総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「叶兎、くん……?」
胡桃は息を呑んで固まっていた。
しばらくして、彼女は震える手をおずおずと伸ばして俺の頬に触れる。
「でも、それは私だって同──」
胡桃の言葉を遮るように、俺はその細い手首を掴んで自分の方へ引き寄せた。
バランスを崩した胡桃の身体が、正面でしゃがんでいた俺の胸に倒れ込む。
ぎゅ、と強く抱きしめて。
「……違う、俺のは──そんな綺麗なものじゃない。」
耳元で囁いた。
額を胡桃の首筋に押し付けて、縋るような体勢。
トップ後継としての威厳も、普段の冷静さも、全部剥がれ落ちて。
胡桃は不思議そうに首を傾げた。
「綺麗じゃない…?」
……何も分かっていない、その純粋な瞳。
胡桃はあまりにも素直で、毒を知らなすぎる。
俺の口元は自嘲気味に歪んだ。