総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「……本当は。全部から遠ざけたい。他の男と一言も喋って欲しくない。笑顔も、涙も、流れる血の一滴まで、全部俺だけのものがいい。一秒たりとも自分のそばから離したくない。」
重苦しい沈黙が、二人の間に落ちる。
……もういいや、ここまできたら、全部教えてあげる。
俺は体勢を変え、そのままの勢いで胡桃をバルコニーのタイルへと押し倒した。
パーティードレスの白い裾がふわりと円を描いて広がり、冷たいタイルに胡桃の背中がつく。
逃げ道を塞ぐように、俺は両手を胡桃の顔の横について覆い被さった。
「……っ、!…こ、ここ、外だよ…!?」
狼狽える胡桃の声も、今の俺の耳には届かない。
お構いなしに、ドレス越しに伝わる身体のラインをなぞるように手を滑らせ、俺は言葉を続けた。
「こうやって着飾ってる可愛い胡桃のことだって、本当は誰にも見せたくない。本当は、屋敷に閉じ込めて、誰の目にも触れないところに……ずっと安全な場所に、俺だけの場所に──って。」
執着。独占。
愛情と呼ぶには重すぎる、生々しい感情。
自分が何を言っているのかわかっている。
独占欲なんて言葉じゃ、足りない。