総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「……こんなの、一生言うつもりなかったのに」
俺は苦しくなって、瞳を伏せた。
言ったことを後悔しているのではない。
胡桃が怯える顔を、直視するのが怖かった。
……けれど。
恐る恐る目を開けると、
そこにいた胡桃は、拒絶するでも怯えるでもなかった。
ただ、顔を真っ赤にして、その潤んだ瞳で真っ直ぐに俺を見上げていた。
「……は?」
素で声が出た。
これほど醜く、重たい感情をぶちまけられたというのに、どうして赤くなっている?
俺の理解の範疇を超えていた。
「……だ、だって……」
胡桃は耐えきれなくなったように視線を逸らした。
タイルの上に広がったドレスの裾をぎゅっと握る指先が、小刻みに震えている。
「……そこまで、私のこと……好き、なんだ……って……」
その言葉を聞いた瞬間、俺の思考は完全に停止した。