総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
私が小さく頷くと、重なり合うように唇が降ってきた。
それは乱暴でも優しくもない、ただ、言葉にできない感情をぶつけるような必死なキス。
「ん……っ、……」
冷たいタイルの上、パーティードレスの皺なんて気にする余裕は、今の私達には一ミリも残っていない。
叶兎くんはわずかに唇を離すと、荒い呼吸のまま私を見下ろした。
赤い瞳が、夜闇の中で熱く燃えている。
「……ここ、外だけど。」
さっき私が言った台詞を意地悪くそのまま返される。
けれど声色はまるで違う。確認ではなく、最後の理性の欠片だった。
「……わ、わかってる、けど……」
この状況で、今更そんなこと言われても……っ
私の潤んだ瞳が、何よりの答えになっていた。
叶兎くんの喉の奥から、低く甘い笑いが漏れる。
「……止めてくれないなら、やめない」
言いながら叶兎くんはドレスのファスナーに指をかけた。
じ、と金具が下りる音。