総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「っ……」
みんなはまだホールで談笑している。
ここは人通りが少ないとはいえ、バルコニーはいつ誰が入ってきてもおかしくない。
絶対誰もこないなんて保証はないのに……。
鎖骨に、熱い唇が落ちる。
叶兎くんの唇が舐めるように肌を辿って、首元の脈打つ場所に鼻先を埋めた。
鋭い牙が、皮膚を焦らすように軽く当てられる。
「……ぁ、……っ」
びくんと肩が跳ねた。
牙の冷たさと、押し付けられる圧迫感だけで、身体の芯が痺れるような甘い刺激が駆け巡る。
やがて、ぷつり、と薄い皮膚を貫く小さな音がした。
「っ……ん……!」
叶兎くんの瞳孔が、吸血衝動に突き動かされるようにすっと開く。
彼はそっと目を閉じ、深く、ゆっくりと、私の血を味わうように吸い上げた。
「……は、……ぁ……かな、と……くん……」
吸われるたびに頭がぼうっと白くなる。
痛みはほとんどない。牙の周りからじわりと広がる熱が、傷口から全身に染み渡っていく。
いつもこうだ。頭の芯が溶けて、何も考えられなくなる。