総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
✳︎
【No side】
中心地から数キロ離れた廃ビル。
その一室では、割れた窓ガラスから差し込む月光が、散乱した書類と空の注射器を照らしていた。
白衣のポケットに手を突っ込んだまま、壁一面に貼られた写真を眺めている男が1人。
壁にピンで留められているのは、膨大な数の写真。
その全てが、赤羽叶兎を執拗に追いかけた盗撮写真だった。
街中を巡回する横顔、トップとして上層部と話す時の隙のない佇まい、つい数時間前にパーティ会場の片隅で胡桃と笑い合う姿まで。
「契約済み、血筋は申し分ない、能力は身体強化。──器としてこれ以上ないほど完璧。」
男の口から、陶酔を含んだ独り言が漏れる。
デスクの上には、ラベルのない注射器が整然と並べられていた。
シリンダーの中に満たされた液体は、どれもが毒々しく不気味な輝きを放っている。
赤、黒、金、そして透明。
血液にはおよそありえないはずの色彩が、月光に透けて揺らめく。
その中の一本には赤黒い文字で、
「No.20──暴走済」とラベルが貼られていた。
【No side】
中心地から数キロ離れた廃ビル。
その一室では、割れた窓ガラスから差し込む月光が、散乱した書類と空の注射器を照らしていた。
白衣のポケットに手を突っ込んだまま、壁一面に貼られた写真を眺めている男が1人。
壁にピンで留められているのは、膨大な数の写真。
その全てが、赤羽叶兎を執拗に追いかけた盗撮写真だった。
街中を巡回する横顔、トップとして上層部と話す時の隙のない佇まい、つい数時間前にパーティ会場の片隅で胡桃と笑い合う姿まで。
「契約済み、血筋は申し分ない、能力は身体強化。──器としてこれ以上ないほど完璧。」
男の口から、陶酔を含んだ独り言が漏れる。
デスクの上には、ラベルのない注射器が整然と並べられていた。
シリンダーの中に満たされた液体は、どれもが毒々しく不気味な輝きを放っている。
赤、黒、金、そして透明。
血液にはおよそありえないはずの色彩が、月光に透けて揺らめく。
その中の一本には赤黒い文字で、
「No.20──暴走済」とラベルが貼られていた。