総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「あ、でも一個気になる報告が上がってるんだった」
時雨くんがスマホを取り出し、画面を私たちに見せた。
「昨夜、暴走事件が起きた時間帯に……いくつかの現場付近で白衣を着た人影を見たって目撃情報が複数ある。」
「……白衣?」
「医者か研究者か。でも、深夜に白衣でうろついてる時点で普通じゃない」
…確かにいくら医者や研究者だとしても白衣のまま出歩く人は少ないし、夜中となればさらに怪しい。
時雨くんは地図をスワイプし、ピンを次々と落としていく。
「目撃場所がここと、ここ。あとここ。」
七つの赤い点。
その全てを繋ぐように線を引くと…一つの円の中に収まった。
「……中心点、病院だよね」
思わず呟くと、二人は息を呑んだ。
円の中心にあるのは、──月宮総合医療センター。
数秒の沈黙の後、叶兎くんが口を開いた。
「……今夜、病院を張る。」
「…特警からも人手借りる?」
「いや。大勢で動けば、それだけ相手に悟られやすくなる。」
「了解。じゃあまず俺が空間把握で外周から見る。」
「中には俺が入る。」
叶兎くんは当然のように言い切った。