総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
*
夜の帳が降り、街が深い静寂に包まれる頃。
月宮総合医療センターの広大な駐車場に、六つの影が集まっている。
私達以外にも、天音くん、蓮水さん、九条くんの三人が特警の見習いとして駆けつけていた。
時雨くんが裏で連絡を取り、急遽招集してくれたらしい。
叶兎くん曰く、「正式に特殊警備隊本部に連絡をすれば大事になるから増援は呼ばないつもりだったけど、外で待機している信頼できる仲間が多いに越したことはないし、この三人なら実力も口の堅さも申し分ない」と。
「にしても、病院ねぇ」
「白衣の人影がこの辺で目撃されたんだろ?医者か研究者か……どっちにしろこんな深夜にうろつくなんて怪しさの塊だな」
みんなで乗り合わせてきた車を降り、天音くんが大きく伸びをしながら隣の蓮水さんに話しかける。
「……裏口から入れそうだ。ちょっと待ってろ」
その間に九条くんが音もなく、建物の暗がりの方へと駆けていった。
しばらくして戻ってくると、彼は目を閉じ、自らの「変装」の能力で警備員の制服を一瞬で完璧にコピーして見せた。
そのポケットからは、いつの間にか複製されたカードキーが。
「これを持ってけ」
「おーさっすが秋斗。便利だねぇ。」
「……褒めても何も出ない。」
九条くんの淡々とした返しに、天音くんがケラケラと笑う。