総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



時計の針は午前七時を指している。



「……全員、仮眠を取った方が良い。屋敷の空き部屋は自由に使って良いから。」



時雨くんの言葉に促され、九条くんや蓮水さんたちも重い足取りで部屋を出ていく。


最後に会議室に残ったのは、私と時雨くんだけだった。



「……胡桃」

「…?」



時雨くんはテーブルに両肘をつき、疲労の滲む目を指でこすった。



「……前にも言ったけど…あの楪って男、信じすぎない方がいい。あいつが「悪い奴じゃない」ってのは…俺もそう思う。でも──」



時雨くんが言葉を切った。

その顔に浮かんでいたのは、純粋な警戒。



「…ハンターは、手段を選ばない」



その言葉が、ひどく冷たく、重く心に響いた。



「目的のためなら味方でも切り捨てる。そういう組織。……あいつ個人がどうとかじゃなくて、そういう教育を受けてるんだよ、ハンターって」



窓から差し込む朝日が、テーブルの上の資料を白く照らしていく。



< 276 / 287 >

この作品をシェア

pagetop