総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
時計の針は午前七時を指している。
「……全員、仮眠を取った方が良い。屋敷の空き部屋は自由に使って良いから。」
時雨くんの言葉に促され、九条くんや蓮水さんたちも重い足取りで部屋を出ていく。
最後に会議室に残ったのは、私と時雨くんだけだった。
「……胡桃」
「…?」
時雨くんはテーブルに両肘をつき、疲労の滲む目を指でこすった。
「……前にも言ったけど…あの楪って男、信じすぎない方がいい。あいつが「悪い奴じゃない」ってのは…俺もそう思う。でも──」
時雨くんが言葉を切った。
その顔に浮かんでいたのは、純粋な警戒。
「…ハンターは、手段を選ばない」
その言葉が、ひどく冷たく、重く心に響いた。
「目的のためなら味方でも切り捨てる。そういう組織。……あいつ個人がどうとかじゃなくて、そういう教育を受けてるんだよ、ハンターって」
窓から差し込む朝日が、テーブルの上の資料を白く照らしていく。