総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
……なんだよ、これ…俺は、こんな能力は持ってないのに。
それなのに、俺の「本能」がその力を理解している。
脳裏に響く知らない誰かの囁き。
この冷気の使い方、制御の仕方。
男は後ずさりながらも、その目は狂気じみた歓喜に輝いていた。
「すごい……すごいよ赤羽くん! やっぱり、君を『器』に選んで正解だった!」
「……お前、俺に、何をした…!!」
「この血は手に入れるのに苦労したんだよ…病院にまで忍び込んでさ。でも、合成血なのにほとんどあの人の能力だな。……相変わらず元トップの血もえげつない効力だ…」
男はぶつぶつと独り言を漏らしながら、狂ったようにメモを取り続ける。
次の瞬間、俺の足元から氷が爆発的に広がった。
男の靴底が、一瞬で床に凍りつく。
「わっ──」
男がバランスを崩して派手に尻餅をついた。
だがその顔は、恐怖ではなく恍惚に歪んでいる。
「ねえ赤羽くん、今の『怒り』で出力が跳ね上がったのに気づいた? …感情と連動するタイプか。なるほど、興味深いね」
「……っ、」
気持ち悪い。この男が。
でも、それ以上に気持ち悪いのは自分だった。