総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




妙な胸騒ぎを覚えながら、俺はノートPCに読み込ませた事故当時の監視カメラ映像を再生した。

もう、何度も何度も巻き戻して見ている映像だ。



「……おかしい」



思わず声が漏れる。


前に本部側の公式記録として閲覧した映像では、それは確かに「居眠り運転による悲惨な単独事故」にしか見えなかった。

だけど、今この手元にあるノイズ混じりのオリジナルデータを拡大してスロー再生すると、画面には全く違う最悪な真実が浮かび上がってきた。



夜道を歩く2人に向かって、猛スピードで突っ込んできた不審な車。

その突っ込んできた車には、直前でブレーキを踏んだ形跡がどこにもない。減速はゼロ。


避けるつもりなんてさらさらない、明確な殺意を持って正面から激突している。



カツン、とマグカップを机に置いた。



二人同時に即死。

…偶然にしては、出来すぎてる。



俺は一冊のファイルを手に取った。

表紙には『研究員死亡事故 調査報告書』と印字されている。


中を開き、並ぶ文字に素早く目を通していく。



「……『ブレーキ系統に異常なし』『タイヤ痕は雨天のため不鮮明』……で、『原因不明のため捜査終了』、ね」



思わず鼻で笑ってしまった。

今になって冷静に読み返してみれば、この報告書はあまりにも雑で、不自然極まりない。



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