総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
だから本音を言えば、今すぐにでも胡桃に触れたい。
薬の効果が消えるまでのここ数日間、ずっと同じ屋敷の同じ空間にいるのに、近づくことも、指先一つ触れることもできなかったのはずっと…生殺しの状態だった。
だけどいざこうして胡桃に目の前まで近づかれると。
触れたくてたまらないのに、触れてはいけないと理性が警報を鳴らす。
胡桃のことになると、どこまでもおかしくなってしまう。
そんな自分が、本当に怖い。
胡桃が俺のすぐ目の前に立っている。
その距離は、あと半歩。
ほんの一歩だけ足を前に踏み出せば、簡単に手が届く近さ。
血が欲しいわけじゃない……いや、それは嘘か。
欲しい。
ずっと欲しかった。
輸血カプセルなんかじゃ、俺の渇きはこれっぽっちも癒やされない。
胡桃の血じゃなきゃ絶対に駄目なんだということを、骨の髄まで思い知らされた、地獄のような数日間だった。