総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ




どれくらいの時間が経ったのだろう。

五分か、それとも十分か。



やがて、叶兎くんがゆっくりと私の肩から顔を上げた。


至近距離で見つめ合って、胸がドキリと高鳴る。

美しい赤い瞳は、ほんのりと熱を持って潤んでいた。



「……ごめん。みっとないとこ見せた」



バツが悪そうに視線を少し下げて、小さく呟いた。

私はふふっ、と微笑んで、愛おしさを込めて首を横に振る。



「ううん。…叶兎くんがこうやって、私の前だけで弱いところも見せてくれるの、すごく嬉しい」



だって、いつも完璧で強くて、みんなの前に立つかっこいい叶兎くんが、こんな風に弱さを見せて甘えてくれる姿を見られるのなんて世界中で私だけだから。


私の言葉を聞いた瞬間、叶兎くんの表情が不意を突かれたように一瞬だけ劇的に崩れた。

驚きと、それからどうしようもない愛おしさがごちゃ混ぜになったような顔。



「……はぁーー……」



叶兎くんは頭を抱えるようにして、深いため息を一つ吐き出した。

恥ずかしさに耐えかねたのか、一度私から目を逸らそうとするけれど、結局その瞳は私を捉えたまま。


叶兎くんはそっと手を伸ばすと、親指の腹で、私の目尻を優しくなぞった。



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