総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「そうやって全部受け入れてくれるから……歯止め効かなくなるんだよ、俺は。」
叶兎くんはあきらめたようにそう言うと、ふっと、いつもの意地悪で大人びた笑みを浮かべた。
心の霧が晴れて、いつもの大好きな叶兎くんに戻ってくれたみたいでそれだけで嬉しくなる。
叶兎くんの手が優しく私の顎を持ち上げ、ゆっくりと顔が近づいてくる。
自然とまぶたを閉じた瞬間、唇に、柔らかくて温かいものが重なった瞬間。
──コンコン。
「っ!!」
ドアから、ノックの音。
あまりのタイミングに、私たちはバッと跳ねるようにしてお互いの身体を大きく離した。
あ、危なかった……ここが特殊警備隊の待機室だってこと、完全に忘れてた……っ!
一気に現実に引き戻され、心臓が爆発しそうなほどバックバクと激しく鐘を打ち鳴らす。
顔に血が上って、信じられないくらい熱いのが自分でも分かった。
「……最悪のタイミング。」
叶兎くんが、誰も聞こえないような小さな声でチッと舌打ち混じりに呟いた。
まだキスをし足りないと言いたげに、ものすごく名残惜しそうな視線を私に向けてくる。