総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



白衣に、眼鏡。

そのあまりにも特徴的な姿は、あの地下研究所のモニター越しに私たちを嘲笑っていたあの不気味な男の特徴と完全に一致する。


…間違いなく、この人を暴走させたのもあの男だ。

朔がさらに声を低くして、核心に迫る。



「その人の名前は?」



一瞬、部屋の中に重苦しい沈黙が落ちた。

拘束された吸血鬼は苦しそうに眉間を寄せて、消えかけた記憶の海を必死に彷徨っている。



「直接口頭で聞いたわけじゃなくてもいい。何か……男の名前が分かるようなものを、部屋の中で見た記憶はない?」

「……ネーム、プレート……奴の、胸に……。……卯月……要……」



うつき……かなめ……?


これまでに一度も聞いたことがない名前だった。

だけどあの犯人の、確固たる『名前』がこれでついに割れた。


これは大きな、大きな一歩だった。



「……はぁ、ごめん。これ以上深く潜るのは、僕の力でも無理だな」



朔は能力を解くと、額にうっすらと汗を浮かべながら肩の力を抜いた。



「十分。名前が割れたなら、こちらの情報網で調べようがある」



叶兎くんがポケットから携帯端末を取り出し、すぐに時雨くんか誰かに調査の連絡を入れようとしたその時。






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