総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ



刃物のように冷たい視線と、剥き出しの強い警戒心。


そして、その中の一人のハンターが叶兎くんを睨みつけながら、嫌悪感を隠そうともせずに小声で吐き捨てた。

「吸血鬼が人間を傷つけた」という最悪の不祥事に、吸血鬼を狩る専門家であるハンターたちが反応しないわけがない。



「……おい、あいつ……あの動画の吸血鬼じゃねえか」



その最悪な言葉が私の耳に届いた瞬間、周囲の空気が一気に凍りついて周りにいたハンターたちの視線が一斉に叶兎くんに集中する。


悔しさと胸の痛みで息が詰まりそうになりながら、恐る恐る叶兎くんの横顔を見上げた。


けれど、叶兎くんは一切表情を変えず眉一つ動かさない。

まるでそんな汚い罵り声なんて最初から聞こえなかったかのように、ただ冷然と、前方の暴走吸血鬼に視線を向けたまま佇んでいる。


叶兎くんは状況を収めるために、暴走吸血鬼に向かってすっと一歩を踏み出した。


そのわずかな動きに過剰反応したハンターたちが、一斉にガシャガシャと音を立てて叶兎くんに銃口を構え直す。



「動くな!…おい、最近のこの連続暴走事件、本当はお前ら本部の人間が裏で関わってるんじゃないのか!?」



──何言ってるの、叶兎くんがそんなことするわけないでしょ!?

と、あまりの理不尽な物言いに頭に血が上り、私が思わず叫びながら前に飛び出そうとしたその時。



すっと、叶兎くんの手が私の前に出され、私を強く制した。



…前に出るなと言われている。

声はなくても、その手のひらから強い意志が伝わってくる。


叶兎くんは自分に向けられた銃口を一瞥すると、低く、冷徹な声を響かせた。



「……好きに疑えばいいけど、今は目の前で暴走している吸血鬼を止めるのが先」





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