総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「いや、じゃあなんで行かせたのさ」
「胡桃は、1度決めたら多分俺が止めても行くから。……あとは、今は少しでも情報が欲しいのは事実だし…」
「あー、なるほどね」
納得した。
胡桃ちゃんのあの芯の強い頑固さは、いくら叶兎であっても、無理やり力ずくで制御できるものじゃないってわけだ。
……にしても、叶兎のことだから強引にでも部屋に閉じ込めて安全な場所に置いておきたいタイプかと思ってたけど、案外、胡桃ちゃんの意思を尊重するんだな。
「……連絡は取れてんの?」
「つかない」
「………………え、マジで?」
さっきまでのどこか緩かった空気が、一瞬にして凍りつくように張り詰めた。
というか、あのハンターの巣窟に一人で行かせてその上連絡がつかないって、不安要素しか残ってないじゃん。
大丈夫なの?それ。
その時──静寂に包まれた資料室に、突然、着信音がけたたましく鳴り響いた。
叶兎がポケットから端末を掴み取る動作は素早くて、画面も見ずにすぐさま耳に当てる。
「……胡桃!?」
切迫した声。
けど、スピーカーの向こうから聞こえてきたらしい音声に、叶兎の眉間の皺がみるみるうちに深く、険しく刻まれていく。