総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「……預かってるって何。どういうだよ状況それ」
思わず俺は、叶兎の持っている携帯に向かって声を割り込ませた。
『あ、栗栖くん一緒にいるんだ?詳しくはまだ上の指示で話せないんだけどしばらくこっちのハンター本部で安全に保護することになってさ。……あ、もちろん本人の合意の上だよ?』
「……合意の上、ねぇ」
叶兎も同じ不信感を感じたのだろう、その赤い瞳をすっと蛇のように細めた。
「……胡桃と代わって。本人に聞く」
叶兎が命令するように冷たく言い放つ。
『あーごめん、今胡桃ちょっと手が離せなくてさ。……またあとで連絡させるよ』
嘘くさいな、おい。
楪くんの声色が不自然なほどに明るすぎる。
わざわざ「合意の上」なんて言葉を強調してくるあたり、後ろめたい何かがありますって、自分から白状しているようなものだろ。
「……叶兎」
俺は叶兎に視線を向け、目で合図を送った。
叶兎は端末を握りしめたまま、数秒間、何かを耐えるように沈黙していた。
「……本人の口から直接事情を聞くまでは納得しないよ」
叶兎の声は冷静だった。
ここで感情に任せて怒鳴り散らしたり、ハンター本部に殴り込みをかければ、きっとそれこそ相手の思う壺だから。