総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
『了解、了解。……あ、それでさっき言った栗栖天音くんの件なんだけど』
「……何」
俺が横から声をかけると、受話器の向こうの楪くんがふっとトーンを落とした。
『君に話があるんだ。……君の両親の件について』
「…!」
『両親』という単語が鼓膜を叩いた瞬間、ドクン、と自分の心臓が激しく跳ね上がるのが分かった。
「……は?なんで急に、俺の親の話?」
『今ちょうど特警の本部にいるんでしょ?今からそっちの資料室に行くけど、いいよね?』
「いや、え?」
頭の回転が追いつかない。
俺の両親のことをなんでハンターが調べてるんだ?
なんでそれを、今このタイミングで持ち出してくる?
「……意味分かんないんだけど。なんで今その話になんの」
俺の両親は、不可解な車の衝突事故で死んだ。
警察にはただの不運な事故として処理され、そのまま迷宮入り。
俺自身、自力でも調べたけど…結局何の不審な点も見つけられず、諦めかけていたのに。
……楪琥珀は、あの事故の何かを知っているのか?
『今だからこそ話すんだよ。証拠のデータも持ってくからさ』
データ……。
喉が、緊張でこくりと大きく動いた。

