総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
慌ててしゃがみ込むと、相手も同時に屈み込んでいた。
「うっわ、ごめん!前見てなかった」
顔を上げると、そこにいたのは背の高い男の人。
黒髪で…耳にはいくつもの銀のピアス。
ぱっと見は大人っぽいのに、視線が合った瞬間の目元はどこか幼さが残っていて……くりっとしている印象があった。
「だ、大丈夫です……!こちらこそすみません」
慌てて本を拾おうとすると、相手も当然のように手を伸ばしてくれる。
「いやいや完全に俺が悪いし。てか、これ全部君の?」
「あ、はい…」
床に広がる本の山を見て、その人は一瞬目を瞬かせたあと、ふっと口角を上げた。
「……随分難しい本読んでるんだね」
差し出された一冊。
表紙には、専門的な文字が並んでいる。
「吸血鬼と人間の契約史……。これ、普通のレポートじゃ使わなくない?」
どきっと、心臓が跳ねる。
別に素性を隠しているわけでもないし後ろめたいことは何もないのに。