総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
✳︎
窓際の少し広めのデスクにひとり座って私は本を何冊も積み上げ、その一冊一冊を順番に開いていった。
分厚い表紙に年季の入った紙の色。
ページをめくるたびにかすかに立ちのぼる、古い紙の匂い。
周囲は静かで、聞こえるのは誰かが遠くでページをめくる音だけ。
時間が、ゆっくり、ゆっくりと流れている。
──吸血鬼と人間の契約は、単なる力の貸与ではない。
──精神状態と血の相性が、能力の安定に深く関わる。
文字を追いながら、無意識に眉間に力が入る。
……難しい。
頭では理解しようとしているのに文章がやたらと硬くて、言葉がなかなか入ってこない。
集中しているつもりなのに、気づくと同じ行を何度も読み返している。
ダメだ。だんだん、文字がじわっと滲んできた。
目の奥がじんわり重くて、思考がゆっくり鈍っていく。
気づけば思っていた以上に時間が経っていた。
昨日も結局遅くまで起きてたし、今日は朝から頭を使いすぎたのかもしれない。
まぶたが、抗えないくらい重い。
……ちょっとだけ。
ちょっとだけ休もう。
机に突っ伏したままそう思った次の瞬間、意識がふっと落ちた。