総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「……あの、あんまりじっと見られると読みにくいっていうか…」
少し居心地が悪くなって、思わず言葉を挟む。
琥珀だって、自分のレポートのための調べものの最中なんじゃないのだろうか。
どうして、そんなに私のことばかり見てくるんだろう。
「胡桃ってさー。…怖くないの?」
不意に、琥珀がそんなふうに切り出した。
「え?」
「吸血鬼。……だって、圧倒的な身体能力と、おまけに血筋能力。人間じゃかないっこないでしょ」
……何でそんなこと、聞くんだろう。
私の周りの吸血鬼は、みんな優しい。
怖い吸血鬼には…まだ会ったことがない。
……でも。
最近、暴走している吸血鬼の話を思い出してしまう。
もしああいう存在に突然襲われたら。
正直、怖いと思ってしまうかもしれない。
「……それでも、一緒にいることを諦めたくない、かな」
そう答えた、まさにその瞬間。
琥珀の目が、ほんの一瞬だけゾッとするほど鋭くなった気がした。
刃物のように冷たく鋭利な光がすっと瞳に差し込んで、次の瞬間にはフッと消え去る。