総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅱ
「ずるいよ…もう…」
赤くなった顔を両手で隠す私を見て、叶兎くんは楽しそうに笑いながら私の手を取った。
指と指が絡むその自然さが、胸を温かくする。
「行こ!もう校門の前に時雨が車で待っててくれてるから」
時雨くんは私達よりひと足先に本部に行っていたから、荷物を運ぶ作業も学園にくることもなかった。
トップとなった叶兎くんの補佐として、正式にこれからも支えてくれる。
寮の扉を出ると、外の空気は少しだけ冷たかった。
学生生活は終わって、これからは——叶兎くんの隣で生きていく。
不安がないと言えば嘘になる。
でも、それ以上に。
叶兎くんと一緒なら、大丈夫だと思えた。
「忘れ物はない?」
運転席の窓から、時雨くんの姿。
「これで全部。わざわざ来てくれてありがとね」
でも、これからそう経たないうちに、
私達の覚悟が試されることになるなんて、この時はまだ気づいていなかった。